過去の女

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他愛も無い話をしながら歩く俺達に水を差したその不愉快な声。 その主は、 「久しぶりぃ。」 派手な化粧をした、見覚えの無い女だった。 誰だ………? 俺の名前を知ってるってことは、何処かで会ったことがある筈。 いやでも本当に記憶に無い。 「なーに? その顔! あたしのこともう忘れちゃったのぉ?」 派手な女特有の、耳障りなキンキン声。 派手女はボリュームのある金に染めた巻き髪を揺らし、俺達の目の前まで寄ってきた。 バサバサの睫毛、テカテカに光る分厚い唇。 胸元を強調した服。 俺の嫌いなタイプだ。 こんな女、ますます知らねぇ。 けれどあっちにとって顔見知りということは。 思い当たる節が全く無いワケじゃない。 けれどソレを今ここで…尚翔が居る場で確認したくなかった。 なのに。 「も~、忘れるなんて潤、ひどぉい。…あぁ、それともぉ…」 「…オイ。」 「抱いた女の顔なんか、いちいち覚えてない?」
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