過去の女

12/17

562人が本棚に入れています
本棚に追加
/211ページ
元々男は恋愛対象じゃない先輩に道を外させたのは、おれ。 先輩がおれを好きなのは、一時の…気の迷いかもしれない。 もしくは、無理しているのかもしれない。 “好き”なんじゃなくて、ペットとして可愛がりたい………そんな感情なのかもしれない。 「っ…ダメだ、考えたら…」 思考が、どんどん泥沼のように混沌としていく。 それを止めようと、おれはブンブンと頭を振った。 《尚翔、昨日のことで話がしたい。》 1限目が始まる直前に、先輩からそうメッセージが来た。 あんなモヤモヤした状態で昨日は別れたから、話をするべきなのは当たり前だと思う。 別れ話じゃないのはわかる。 じゃあ、何を話すのだろう。 …なんだか、浮気された彼女みたいな気分だ。 そう思うと、少し笑えてきた。 潤先輩が話してくれることを、ちゃんと聞いて、受け入れなきゃ。 たとえ…いずれ別れを選ばなきゃいけない、そんな未来が訪れたとしても。 おれは先輩を好きになったことを後悔したくない。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

562人が本棚に入れています
本棚に追加