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元々男は恋愛対象じゃない先輩に道を外させたのは、おれ。
先輩がおれを好きなのは、一時の…気の迷いかもしれない。
もしくは、無理しているのかもしれない。
“好き”なんじゃなくて、ペットとして可愛がりたい………そんな感情なのかもしれない。
「っ…ダメだ、考えたら…」
思考が、どんどん泥沼のように混沌としていく。
それを止めようと、おれはブンブンと頭を振った。
《尚翔、昨日のことで話がしたい。》
1限目が始まる直前に、先輩からそうメッセージが来た。
あんなモヤモヤした状態で昨日は別れたから、話をするべきなのは当たり前だと思う。
別れ話じゃないのはわかる。
じゃあ、何を話すのだろう。
…なんだか、浮気された彼女みたいな気分だ。
そう思うと、少し笑えてきた。
潤先輩が話してくれることを、ちゃんと聞いて、受け入れなきゃ。
たとえ…いずれ別れを選ばなきゃいけない、そんな未来が訪れたとしても。
おれは先輩を好きになったことを後悔したくない。
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