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先輩が苦しそうに口を開いた。
「あんな形で、俺の過去を知られたくなかった。でも無理だよな。あれだけ派手に遊んでりゃ、いずれはバレる。」
派手に遊んで………
わかってはいたけど、改めて聞くとつらい。
つらさを悟られないように、おれは秘かに下唇を噛んだ。
「昨日も言ったが、お前と会う少し前まで俺はかなり荒れてた。喧嘩を売られたら普通に買った。毎日イラついてた。言い寄ってくる女も正直ウザかったけど、俺も男だから。溜まった性欲と苛立ちをぶつけるみてぇに、何人も抱いた。」
「軽蔑されても仕方ねぇくらい、女にだらしなくなってた。…でも高校に上がってバイト始めてからは、生活費稼ぐのに必死で喧嘩する暇も女とヤる暇も無くなってた。情けねぇ話、高校だって母親が無理矢理入らせたし、学費も親頼みだ。それにムカついて、とにかく働いて稼いで自立してやるって思ってた。」
「そんな時に───お前が俺の前に現れたんだ。」
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