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「…とにかく、だ。あんま俺につきまとうな。」
「迷惑…?」
西崎がか細い声で訊いた。
「ああ。…迷惑だ。」
冷たくそう言い放つと、西崎は悲しそうな顔をした。
その顔を見て、何故俺の胸が微かに痛むのかはわからないが。
これでいい。
俺が西崎を傷つける言葉を投げれば、西崎はいずれ俺を好きでいることを止めるだろう。
それでいいんだ。俺は独りでいい。
西崎を突き放すのは、別に西崎のためを思ってのことじゃない。
ただ───どうせコイツも、俺が誰かを殴るのを見ればすぐに愛想を尽かすに決まってる。
俺を白い目で見るその他大勢の連中と同じだろう。
「つーか、お前が俺を好きだっつったところで、俺はお前なんか好きになんねーけどな。第一男同士だし。」
「………」
「俺には何のメリットもねぇ。うぜーからとっとと消えろよ。」
乱暴に言い放っても、西崎は悲しそうな顔をしたまま、そこを動こうとしない。
めんどくせぇ奴。
俺は舌打ちをして立ち上がると、立ち尽くすソイツを置いて屋上を後にした。
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