孤独な自分

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その翌日。 俺の人生を狂わせる決定的瞬間が訪れた。 俺がヤンキーと喧嘩をしているシーンが、何故か写真に撮られていた。 そしてその写真が、学校の教室の黒板に貼り出されていたのだ。 写真は何枚もあった。 当然それは大騒ぎになり、職員会議にまで発展し、俺は校長室に呼び出された。 写真を見せられ、問い詰められる。 経緯を説明したが、結局俺も相手に手を出したという事実のみを強調され詰られた。 どちらが先だろうと、相手を殴ったことには変わりないと。 両親も学校に呼び出され、ハッキリと言葉にはしなかったが、暗にどういう躾をしているのかと責められた。 両親は、俺を責めたり詰ったりしなかった。 それは決して俺を赦しているという意味じゃない。 見放されたのだ。 騒ぎを起こした息子は、もう息子じゃない。 ただ世間体を優先して、同じ屋根の下に置いているだけ。 少なくとも、父親はそう。 母親の方は、少し違った。 いつも俺を心配していた。 けれどそれは俺にとって苦痛でしかなかった。 まるで腫れ物。 俺には弟が1人いる。 小学5年生になる弟。 両親の関心と期待は、もはや弟にしか注がれていなかった。 地獄のような中学生活を終え、働こうと思っていた俺を引き留めたのは、母親だった。 勉強できるのは今しかないのだからと。 せめて高校は卒業してほしいと。 渋々受けた、それなりのレベルの高校に上がると同時に、 俺は家を出た。 ◇ ◇ ◇
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