孤独な自分

22/33

562人が本棚に入れています
本棚に追加
/211ページ
資料室ならここからそう遠くない。 資料室までの道中、俺と西崎は終始無言だった。 正直、気まずい。 だから資料室に到着して、机にノートを置いた時、やっと解放されると思って安堵した。 「…じゃぁな。これっきりだ。次は助けてやんねぇからな。」 「………」 「あと、もう俺には関わんなよ。」 そう釘を刺し、部屋を出ていこうとした。 「…先輩っ」 小さく、でもハッキリと俺を呼ぶ声に、俺は思わず足を止めた。 …だから、無視すればいいのに。 なんでいちいち反応してるんだよ、俺は。 「…何。」 俺を呼び止めた西崎に対する苛立ちと、 それに反応して足を止めてしまった自分への苛立ちに、 つい無愛想な返事をしてしまう。 「えっと…」 「…んだよ。早く言えよ。」 「あ……」 しどろもどろになっている西崎。 仕方ないから、待ってやる。 「ありがとう。手伝ってくれて。」 「…!」 「ありがとう、ございます。」 頬を染めて、ふわりと笑った。 綺麗だ、と思ってしまった。 心臓がドクンと音を立てた。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

562人が本棚に入れています
本棚に追加