562人が本棚に入れています
本棚に追加
/211ページ
資料室ならここからそう遠くない。
資料室までの道中、俺と西崎は終始無言だった。
正直、気まずい。
だから資料室に到着して、机にノートを置いた時、やっと解放されると思って安堵した。
「…じゃぁな。これっきりだ。次は助けてやんねぇからな。」
「………」
「あと、もう俺には関わんなよ。」
そう釘を刺し、部屋を出ていこうとした。
「…先輩っ」
小さく、でもハッキリと俺を呼ぶ声に、俺は思わず足を止めた。
…だから、無視すればいいのに。
なんでいちいち反応してるんだよ、俺は。
「…何。」
俺を呼び止めた西崎に対する苛立ちと、
それに反応して足を止めてしまった自分への苛立ちに、
つい無愛想な返事をしてしまう。
「えっと…」
「…んだよ。早く言えよ。」
「あ……」
しどろもどろになっている西崎。
仕方ないから、待ってやる。
「ありがとう。手伝ってくれて。」
「…!」
「ありがとう、ございます。」
頬を染めて、ふわりと笑った。
綺麗だ、と思ってしまった。
心臓がドクンと音を立てた。
最初のコメントを投稿しよう!