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重ねた唇を無理矢理こじ開け、強引に舌を捩じ込んだ。
西崎は硬直したまま、抵抗する素振りすら見せない。
されるがままだ。
捩じ込んだ舌を西崎の口腔で暴れさせ、軟口蓋をなぞるように動かした。
一瞬だけ唇を離すも、すぐまた強引に塞ぐ。
「────ッ…ん、ふぅ…っ」
我に返ったのか、西崎の鼻から声が漏れた。
西崎の中の怯えを象徴するように、舌も硬直して震えている気がした。
───そうだ。
もっと怖がればいい。
…にしてもコイツ…
唇、すっげー柔らかい。
匂いも甘いような気がする。
「──────っ!!」
我に返ったのは、俺の方だった。
弱々しく掴まれたシャツの感触に。
───急に現実に戻された。
勢いよく西崎を引き剥がす。
危なかった…
どさくさに紛れて、何考えてんだ…
「ハアッ…ハアッ…」
「………」
恐る恐る西崎を見る。
西崎は頬を紅潮させ、乱れた呼吸を整えている。
心なしか潤んでいる目を、俺には向けようともせず。
…これでいい。
これで俺に失望して、近づかなくなればいい。
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