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思いもよらない発言に、虚を突かれる。
西崎の顔は、見たことがないくらい真っ赤で、耳や首まで赤くなっていた。
俺よりも小さいであろうその手は、自信無さげに俺の服を掴んでいる。
上目遣いで俺を見上げる仕草に、心臓がドキリと妙な音を立てた。
「おれは…本当に先輩が好き…」
「…離せ。」
「付き合ってほしいとか、そんな贅沢なことまで望んでない。ただ…おれの気持ちに、向き合ってほしい…」
「………」
ギュ…と、少しだけ力がこめられた西崎の手。
いつもみたく、振り払えばいいのに。
何故か今は、それができない。
男が男に無理矢理キスされるとか、普通は不快な筈だ。
ましてや俺みたいな奴に。
コイツもどうせ他の奴らのように、嫌悪を示すに決まってる。
そう思っていたのに。
西崎は嫌悪どころか、尚も縋りついてきた。
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