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「もう、いい。」
「え…」
「諦めた。」
はぁ、と溜め息をつき、俺は壁に背中を預けた。
…ったく。
軽く脱力する。
「どうやらテメェには逆効果みてぇだしな、何回突き放しても。」
「だっておれも、諦められないから…」
「わかったから、もうそれ以上言わなくていい。マジでもう好きにしろ。」
自分でも投げやりになっているのはわかる。
投げやりにもなりたくなる。
これだけしつこい奴相手に、最早為す術がない。
「…その代わり、だ。俺がテメェを好きになることはない。テメェに親切にしてやる気も毛頭ねぇ。テメェも、俺の邪魔だけは絶対にするな。」
「うん…! 傍にいさせてくれるなら、それでもいい…!」
………顔が輝いている。
マジで嬉しいんだろう。
いやいや、空気扱いしますって言われてるようなモンなのに、喜ぶ意味がわかんねぇよ。
「…はぁ…」
本当にもう、溜め息しか出ない。
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