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時間にしたら多分ほんの数秒だったと思う。
けれど俺が西崎に顔の傷を拭かれている間は、ものすごく長く感じた。
「…絆創膏も貼る…」
「っ…そこまではマジでいらねぇ。」
徐に鞄から絆創膏を取り出され、焦って拒否する。
そんなもん顔に貼り付けて、小学生みたいじゃねぇか…
「先輩、時々顔に傷作ってるよね。」
「好きで作ってるワケじゃねぇよ。」
「でも、売られた喧嘩は買うんだよね。」
「……ああいう奴らは、買うまでしつけぇんだよ。俺のせいじゃねぇ。」
周囲の人間は、俺が好きで喧嘩してると思っている奴が多い。
全てが壊れた“あの日”から、俺の生活も、周囲の反応も、何もかもが変わった。
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