小さな変化

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「潤、屋上行かねーの?」 次の日。 珍しく屋上には行かず教室に留まっている俺に、魁斗は不思議そうに訊いてきた。 「…ああ。」 「尚翔クンと何かあった?」 「………」 質問に答えない俺に、魁斗は図星だと察したらしい。 ニヤニヤと笑いだした。 「そうかぁ~~~」 「何だよ気持ち悪ィな。」 「いやぁ? 西崎と何かがあって気まずいから屋上行けねーんだろ?」 「っ! そんなんじゃねぇよ…」 否定はしたものの。 図星だった。 昨日、何故か西崎に対してイライラして、何とも気まずい別れ方をした。 以前の俺なら、どうでもよく感じていた。 なのに何故か、屋上に行けばアイツと遭遇することを恐れて行けずにいる。 なんてザマだよ。 「いやーでも潤も成長したね。」 「あ? 何言ってんだ。」 「だって尚翔クンと喧嘩しただけで怖くて会いに行けないとか、前の潤なら有り得ねーじゃん。」 「だからそんなんじゃねぇっつってんだろっ」 魁斗の言っていることは嘘じゃない。 けどそれを認めたくない。 鬱陶しいだけの他人に振り回されている自分を、どうしても認めたくない。 俺が語気を荒げたことで、それまで騒がしかった教室の中が一瞬静かになった。 怯えたような視線、蔑む視線が俺に集中するのがわかる。
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