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それからというもの、西崎は俺と一緒に下校するようになった。
…一度、ちょっとした意地悪をしてやろうと思い、いつもいる屋上ではなく教室にいた。
(当然クラスは腫れ物に障るような空気に包まれたが。)
西崎は俺のクラスに来た。
『あの高藤 潤に自ら会いに来る奴がいるのか』と、クラス中が騒然とした。
「屋上にいないから、びっくりした…」
だから俺を捜して、わざわざ上級生の教室に来たようだ。
普通は怖くてそのまま諦めて帰るだろうに。
「珍しいね。先輩が教室にいるなんて。」
「…いくらなんでも、一日中屋上にいるワケねぇだろ。」
俺はその辺の、授業サボるのがイケてるとか勘違いしてるバカヤンキーとは違う。
そんなことしたら、出席不足で留年してしまう。
俺はとっととこの学校を出て、誰も自分のことを知らない所へ行きたかった。
中退ではなく卒業するまで耐えているのは、両親の世間体を守る為だ。
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