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「…もし教室にもいなかったら?」
訊く必要もないことを訊ねる。
必要はないけれど、知りたかった。
「正面玄関で、待ってたかな。靴があればだけど。」
そう言うと西崎は恥ずかしそうに目を伏せた。
対して俺は、訊いたことを少し後悔した。
まただ。
胸の奥がざわつく。
「…そうまでして俺と帰りてぇのか…」
思わず心の声が溢れた。
西崎は黙りこくり、
「………」
その顔は紅く染まっていた。
それは俺が溢した言葉が事実だと物語っていて、それが妙にリアルで。
心臓までもが、大きく反応した。
本当に、コイツには動揺させられっぱなしだ。
最近、どんどんワケのわからない感情に振り回されるようになってきた。
だからなのか。
次の瞬間、俺はこんなことを口走っていた。
「…そんなに俺のこと好きなのに、俺と付き合いてぇとか思わねぇのか。」
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