大きな変化

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「───で、このXに代入して───」 教師の呑気な声が教室に響く。 周囲が必死に板書をノートに書き移す中、俺はぼんやりと窓の外を眺めていた。 ちなみに俺の席は窓際。 そしてグラウンドを一望できるというオプション付き。 教室の奴らは俺を腫れ物扱いしやがるから、この配置は双方にとって都合がいい。 今の時間は、グラウンドには体育の授業をしている学年がいる。 1年生。 ………西崎のいる、クラスだ。 ここからでもわかった。 (……あ。) 西崎がどこにいるのか。 西崎は、小柄な方だ。 ここから見ても、他の奴らより身長が低いから、たとえ動き回っていてもすぐ見つけられる。 授業は陸上らしく、今は高跳びの最中だ。 他の奴らが成功する中、 「…!」 西崎だけが失敗し、バーを落とした。
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