562人が本棚に入れています
本棚に追加
「───で、このXに代入して───」
教師の呑気な声が教室に響く。
周囲が必死に板書をノートに書き移す中、俺はぼんやりと窓の外を眺めていた。
ちなみに俺の席は窓際。
そしてグラウンドを一望できるというオプション付き。
教室の奴らは俺を腫れ物扱いしやがるから、この配置は双方にとって都合がいい。
今の時間は、グラウンドには体育の授業をしている学年がいる。
1年生。
………西崎のいる、クラスだ。
ここからでもわかった。
(……あ。)
西崎がどこにいるのか。
西崎は、小柄な方だ。
ここから見ても、他の奴らより身長が低いから、たとえ動き回っていてもすぐ見つけられる。
授業は陸上らしく、今は高跳びの最中だ。
他の奴らが成功する中、
「…!」
西崎だけが失敗し、バーを落とした。
最初のコメントを投稿しよう!