562人が本棚に入れています
本棚に追加
それまで教師の声だけが流れていた教室に突如響いた乱暴な音に、その場の空気が一瞬で凍りついた。
その音の主は、他でもない俺。
俺が、机の脚を蹴った音だ。
授業を行っていた教師が、怒ったような声をあげた気がするが、そんなものどうでもいい。
…イライラする。
西崎が…あの顔も知らない奴にベタベタ触られているのを見て、それが───どうしようもなく苛立つのだ。
…何なんだよ。
何なんだよ、コレ。
あの光景を見てイライラし始めたのは確かだ。
けれど、だからと言って何故イライラするのかわからない。
わからないから………余計に苛立ちが増す。
西崎とソイツはすぐに身体を離したが、西崎は嫌な顔ひとつせず、ニコニコとソイツに笑いかけていた。
それを見て、苛立ちとは別に胸にざわつきを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!