0人が本棚に入れています
本棚に追加
『すみません、遅くなりました。』
小走りに店に入ると店長と目が会った。
『あら、小滝くん。珍しく遅かったわね。』
『すみません。』
『いいのよ、小滝くんはいつも真面なんだし。それに講義が長引いたんでしょ。って言ったってまだシフト時間前なんだし。』
『すぐ、着替えてきます。』
そう言ってスタッフルームへと急いだ。
荷物をロッカーに入れ、すぐに着替える。
仕事着に着替えると気も引き締まる気がした。
『よし。』
小さく息を吐いて店に出た。
『小滝くんこれ、並べといて。私レジ行くから。』
『はい。』
店長にパンのケースを渡され、並べようとした。
すると慌ただしく入ってくる人にぶつかってしまった。
『あっ、失礼いたしました。』
『きゃっ、て小滝くんじゃん!もう!』
『泉さん』
『ちょ、どいてどいて!また遅くなっちゃった!店長に怒られちゃう~!』
と彼女はバタバタとスタッフルームへ入って行った。
彼女は同い年でバイト仲間だった。大学は違うが同い年と言うこともありシフトが同じ時が多い。
『ふぅ~怒られるとこだった!
よかった店長レジ中で』
『また彼氏ですか?』
『彼氏とはもう別れたって言ったでしょ?女友達とカラオケ行って盛り上がっちゃって~なかなか抜け出せにくくてさ~』
『だからって遅刻の言い訳にはならない!』
『げっ、て、店長~!聴いちゃってました?』
『聴いちゃうも何も遅れないでくること!何度目だ!やめさせたっていいんだよ?責任を持ちなさい』
『はい…スミマセンでした。』
『わかったらさっさと品出して』
『はーい』
店長が再びレジに戻るのと同時に泉はペロッと舌を出して
『また怒られちゃった』
と首をすくめた。
あまり反省の色はないようだ。
最初のコメントを投稿しよう!