第1章

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一週間間後、いろんな検査を終え、記憶喪失以外に問題がないと医師に告げられると退院許可が出た。 私は病室を出る前に事故で病院に運ばれたこと、頭を強く打ち2年もの間眠っていたこと。本来なら高校3年生であることを両親から教えてもらった。 もちろん、全部信じられるわけではない。 だが、受け入れなければならないということはわかっていた。 たくさんの看護師さんや医師に見送られタクシーに乗る。 見覚えのない街並みを15分走らせたところでタクシーはとまった。 『着いたよ。私たちの家はここよ。』 あまり大きくはないがシンプルで可愛らしい一軒家だった。 『ここが…私の、家…。』 たしかに家のポストにはローマ字で“KUMAMIYA”と彫ってあった。 『伊織の部屋は二階にあるから行ってきてごらん。』 そう言われ部屋に入ると 可愛らしいベッドや勉強机がならんでいた。 しかし、それ以外綺麗に片付いていて生活感が無い。 『2年もいなかったんだもんね。 当たり前か。』 部屋にいても何もすることが無いのでリビングに降りて行った。 『どうだ?何かあったか?』 『綺麗に片付いていて何もすることなかったなら降りてきちゃいました。』 『それもそうかもな。』 『伊織の部屋なんだから自由に使っていいんだからね。』 『はい。』 それにしても、と家中を見回す。 『綺麗な家なんですね。結構新しいですよね?』 『ああ、そうね。丁度2年前に建てたばかりだったのよ。』 『そうなんだ…。じゃあ私が事故に会った頃建てたばかりだったんですね。』 『そうだな。』 『本当に私2年も眠ってたんですね。』 私が暗くなったのに2人は気を使って 『ゆっくり過去のことをお話ししましょう。大丈夫、焦らないほうがいいから』 『そうだ、もしかしたらすぐ全部思い出すかも知れないからな。』 と、優しく寄り添ってくれた。 『はい…!』 私は2人を困らせまいと笑顔を作って微笑んだ。 その日はこれからの生活に対する不安でなかなか眠ることができなかった。
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