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「じゃあ今回だけ特別に、これだけ持ってあげる」
琴音は紙袋をひとつだけ自分の荷物を持っている右手に持ち返ると、残りを奈緒に向かって差し出す。
奈緒は渋々それを受け取った。
「ねぇこれからどうする?」
琴音が聞く。だいたいいつも決定権は奈緒にあるのだ。
「カラオケは?」
「二人で?」
「イヤ?」
「イヤではないけど……。ねぇ、津村とか呼ばない。うまく誘えばお金出してくれるかもよ」
琴音がニヤッと笑った。
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