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お昼になって奈緒の家に行くと、奈緒の母が愛想良く迎えてくれる。
「琴音ちゃんいらっしゃい。お昼まだでしょ? せっかくだからうちで食べてから行きなさいよ」
小遣いがピンチなのだから、待ち合わせを昼食後にすればよかったという、琴音の心を見透かしたように、奈緒の母は、昼食を作ってくれていた。
「本当ですか。有り難うございます」
「って言っても、お素麺なんだけどね。ほら、琴音ちゃんそこに座って」
そう言って勧められた席には、素麺が置いてある。
琴音のうちで素麺と言ったら、少し大きめのガラスの器に、氷と一緒にドカっと入れられた素麺を、みんなでつついて食べるのだけど、
奈緒のうちでは、ちゃんと一人前ごとに分けられていて、しかも刻んだ胡瓜や、錦糸玉子といった具材まであった。
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