第3話 夏休み

夏休み

うちの万年平社員のパパと違い、奈緒のパパは大企業の課長さんで、それなりに裕福だし、

奈緒は一人っ子で両親の愛情を一手に引き受けているから、琴音はいつも羨ましいと思っている。

でも、奈緒はいつも、一人っ子で寂しいから、琴音が羨ましいと言っているのだから、人の感じ方や想いというのは、人それぞれで十人十色ってことなのだろう。

でも琴音は、一人っ子で可愛がってもらえるほうが、絶対良いと思うけど……。

スマホは買ってもらえないけど、結構小遣いに不自由をしていない奈緒のことを、琴音はいつも羨ましいと思っていた。