午後のひととき

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嫌な空気になったけど、悠輔が琴音に対して暴力をふるったりすることはないだろう。 琴音はそう思って安心していた。 『将を射んと欲すれば、まず馬を射よ』ということわざがあるけれど、ここにいる男子生徒たちにとっての、将が奈緒なら、馬は菜津と琴音なのだ。 すなわち、菜津と琴音を味方にした者が、奈緒争奪戦で優位に立てるとみんな思っているはずである。 琴音はそれが分かっているから、ここにいる者たちが、奈緒のことを諦めない限り、いつまでも優位でいることが出来ると思っているし、今までだってそれを利用して、カラオケをおごらせたり雑用を押し付けたりしてきたのだ。
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