二人目の死者

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「そうか、じゃあ精のつくものを注文しよう」 竜太郎がニヤリと微笑んだ。 「バカ」 佳子は照れ笑いでメニューに目を通す。 もう十年以上一緒にいる夫に、こんなにときめいたのは、新婚の頃以来だった。 運ばれてきた料理を口に運びながら、妙にウキウキしている。 ここ数年、ずっと母親という役割に徹していた佳子が、久しぶりに妻であり、恋人に戻ったような気がしていた。
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