第11話 なぜの嵐

なぜ？の嵐

少し遅れて登校して来た奈津は、すぐにみんなに囲まれて質問攻めにあう。

普段からあまり目立つタイプではない菜津が、クラスの中心になっているのが、琴音には何だか少し不思議だった。

「もうその話はやめろよ」

奈良原剛が、菜津と菜津を取り囲んだ者たちに文句を言う。

琴音も正直そう思った。

自分たちは関係のない野次馬だから、幽霊騒動も面白おかしく聞けるのだろうが、実際にその幽霊に命を狙われている立場の者にとっては、笑い事ではないのだ。

津村健司も同じ思いなのだろう。

自分の席に座り、面白くなさそうに腕組みをしていた。