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「はぁ~い。じゃあ私はちょっと出かけて来るから」
琴音は母の小言を面倒くさそうに避けようと立ち上がる。
「ちょっと琴音。勉強するんじゃなかったの?」
そんな娘に向かって、母がすぐに追い打ちをかけた。
「そうなんだけど、ちょっと友達のお見舞いに行ってくるから」
「お見舞い? 誰か入院でもしたの?」
「ううん。入院はしてないけど、菜津が風邪をひいたみたいで」
「あら、そう……。じゃあこれで何か買って行きなさい」
母はそう言うと、珍しく財布の紐を緩めてくれた。
「有り難うお母さん。じゃあちょっと行ってくるね」
「うん。でも、早く帰ってくるのよ。なんせアナタには家事のアルバイト代を前借りさせてあげてるんだから、しっかり手伝ってもらわないと」
「分かってるよ」
琴音は母の小言が嫌で、早々に自宅を後にした。
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