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「ねぇ琴音。今から学校に行ってみない?」
菜津が誘ってくる。
「え? 何で?」
「何でって……もし、大島先生が犯人なら、その証拠を見つけたいなぁと思ってだけど」
「いや、それはどうかな……。夏休み中も学校には先生が大勢いるし、それにもう四時だし」
琴音は時間を気にした。母親に早く帰って家事を手伝うように言われているのだ。
「まだ四時だよ。日が暮れるまでまだまだ時間があるし、職員室はさすがに探れないかもしれないけど、天文部の部室とかなら大丈夫なんじゃない?」
「それはそうかもしれないけど、もし大島先生が犯人だとして、天文部の部室に証拠になりそうなものを置いておくと思う?」
「そんなの分からないじゃん。でも、もし大島先生が犯人だとしたら、早く警察に捕まえてもらわないと、私たち殺されちゃうかもしれないんだよ」
「それはそうかもしれないけど、だったら最初から警察に届けたらどうかな?」
「バカなこと言わないでよ! 警察が事故で片づけてる事件を、私たちの憶測だけで調べてくれると思ってるの? それにだいたい大島先生が犯人じゃなかったら、誰が警察に届けたんだって言われて、その犯人捜しがはじまるに決まってるじゃん。もうイヤなんだよ。誰かに責められてイジメられるの!」
菜津が目の色を変えて怒鳴ったので、琴音は心の底から焦った。
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