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ちらっと隣に座る名草さんを見ると、たくさん飲んだはずなのに、全然顔色は変わっていない。
「なぁ、奈緒。お前、彼女とかいんの?お前目当ての客、結構多いぞ」
「え?彼女なんていませんよ。それに俺より晴斗目当ての客のが多いと思います」
そう言いながら晴斗を見ると、名草さんも俺と同じように晴斗を見てすぐに視線を逸らした。
「まぁ、こいつはイケメンだしな。で、奈緒は彼女つくるきはねぇの?俺もお前も25と26で、そろそろそういう時期だろ?」
「あー、そうですね。でも、なんか今はまだ仕事だけで手一杯と言うか、仕事だけでいいって言うか…。まだいいかなって思ってます」
笑いながら言うと、名草さんからはふーん、と言う返事だけ返ってきた。
ちらっと名草さんを盗み見ると、いつかみたいな険しい顔をしていた。
ずっとそうやって名草さんを見続けていると、ふと目があった。何となく、逸らせなくてそのまま10秒ほど固まる。
先に顔を背けたのは、名草さんだった。
「なぁ、奈緒。俺、お前の事が…」
顔を真っ赤に染めた名草さんが、次の言葉を言おうと口を開いたとき、それを遮って
「なお…」
と、和泉の声が聞こえてきた。
いつの間にか起きてたのかも、と思ってすぐに和泉を見ると、本当に寝ているようで、寝息が聞こえてきた。
寝言で俺の名前を呼ぶほど和泉は俺の事好きでいてくれるのか、と思うとなんだか和泉が愛おしくなって自然と頬が緩んでいた。
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