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 すると、名草さんが舌打ちをしてから立ち上がった。 「もう帰るわ。じゃあまた明日」  有馬さんと晴斗を起こした名草さんは、そのまま2人を連れて帰っていった。  何を、言おうとしてたんだろう、名草さん…。  今まで見たことなかった顔で、何かを俺に伝えようとした名草さんを思い出す。あの後に続く言葉と言えば、1つしか思い浮かばないけど…。  いや、それはない…はず。酔ってるからそんなことを思いつくんだと考えて、すぐにさっきの言葉を打ち消した。  酔いを醒ますために水を飲もうと立ち上がったその時、俺の左隣で寝ていた和泉が、俺の手を引っ張った。 「うわっ…え?和泉?寝てたんじゃ…」  その勢いのまま和泉の上に倒れこんだ。しかし目を瞑ったその瞬間、位置は逆転していて、目を開けると和泉と天井が映っていた。 「…和泉?なんで、起きて…」 「ごめん。本当はずっと起きてたんだ。俺、お酒弱いから実はあんま飲んでなかったんだよ」 「え?じゃあ、名草さんと話してたのも聞いてたってこと?」  うん、と頷きながら和泉が答える。満面の笑みを浮かべている和泉が、何故か少し怖かった。 「あの後なんていうか分かったから、邪魔しちゃった」 「なんで…?」 「理由は1つだけだよ。誰かが奈緒に告白するのさえ許せないほど、奈緒の事が大好きだから」  和泉が思わず目を逸らしてしまいそうになるくらい真剣な表情で俺を見る。  困惑する俺をよそに和泉は微笑を浮かべながら、段々と顔を近づけてくる。
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