18/18

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「まだ、話は終わってないよ。ねぇ奈緒、男に告白されたって聞いたのに全然嫌がってないのは何で?普通は、気持ち悪いって思うよね。何で?」 「えっと、それは…」 「俺、奈緒の事が好きだよ。ずっと、初めて会った時から。返事はいつでもいいから」  それだけ言うと、晴斗は俺が来た方に帰っていった。  しばらくその場から動けずにいると、晴斗が去って行った方から足音が聞こえてきた。  すぐにその方向に振り向くと、そこにいたのは、有馬さんだった。 「あ、有馬さん…。もしかして今の聞いてました?」 「…悪い。盗み聞きするつもりはなかったんだが」 「あ、いえ…大丈夫です」 「そうか…。涼真にも告白されたのか?」  今日2度目の名草さんの話が出て、つい言葉に詰まってしまった。 「…はい」 「…部外者の俺が言うのもなんだが、好きじゃないのに期待だけさせる事だけはするなよ。相手を傷つけることになるからな」 「はい。それは分かってます」 「そうか。じゃ、お前もあんま悩みすぎるなよ。いつでも相談には乗るからな」  去り際にやさしい言葉を残してくれて、その言葉に俺は少し心が軽くなったような気がした。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加