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「誕生日おめでとう、奈緒。早く開けてあけて!!」  急かされるまま、かわいい水色のリボンで包まれた箱を7開けると、中には…シンプルな指輪が入っていた。  そっと、それを箱の中から取り出すと、和泉がその手をぎゅっと掴んできた。 「奈緒、もう一回ちゃんと言わせて。ずっと、子供の頃から奈緒の事が好きだった。今もこれから先も奈緒の事が大好き。だから、俺と付き合って」  真剣な顔で俺を真っ直ぐ見てくる和泉の目から、逃れることができない。無意識に手の中の指輪をぎゅっと握りしめた。  和泉を少し怖いと思ってしまったのを察したのか、手を握ったまま俺のところまで来て、もう片方の手でぎゅっと抱きしめられる。 「ごめん、急にこんなこと言って。奈緒を困らせるのは分かってた…けど、もう自分の気持ちを抑えることできなくて…。もし、1%でも可能性があるなら、この指輪もらって」  耳元で囁かれる。恥ずかしくて赤くなる顔を見られないように、俺は和泉の肩に顔をうずめた。  どう、答えていいか分からない。俺は幼馴染として和泉の事は好きだから。  でも今、和泉に告白されて嫌だなんて思ってない自分もいる。  …1%は、もしかしたら超えてるかものしれない。  そう結論して、俺は小さくうん、と答えた。  言った瞬間、また和泉が好きを何度も言ってきて、俺がうんと答える。  それでも嬉しそうに笑う和泉を見て、俺もつられて楽しくなって笑う。  その二人の関係は、あの頃と全然変わってなくて、本当に嬉しくて、俺たちは日が変わるまで話し続けていた。
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