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 翌日、結局泊まっていった和泉がなかなか起きなくて、結局朝ご飯とメモだけ残して家を出てきた。  大丈夫かなぁ…と心配になりつつ、厨房に入るとすぐに店長もやってきた。  店長の名草涼真さんは俺の専門学校時代の先輩でもある。そして、俺が就職先がなかなか見つからず悩んでいる時に、彼の幼馴染でここの副店長でもある有馬京哉さんと一緒に俺を誘ってくれた。  初めて会った時からずっと尊敬している先輩でもある。  名草さんにあいさつを済ませると、何故か俺のとなりにやってきた。 「奈緒、昨日は誕生日祝えなくてごめんな。どうしても外せない用事ができたから、できなくて…」 「い、いえそんな!大丈夫ですよ」  軽く頭を下げる名草さんを慌てて止めて、また話を続けた。 「昨日は、いきなり幼馴染が来まして…10年ぶりの再会だったから、もし誕生日パーティー開いてたらなんか気まずい空気になってそうだったんで、むしろ良かったです」  そう言うと、名草さんは少し微笑んだ。 「そっか、良かった。あ、来週の水曜日はちゃんと空けとくから、今度こそ奈緒の誕生日パーティーやろうな」 「はい、ありがとうございます」  頷いてから頭を下げると、2,3回俺の頭をポンポンと撫でてから名草さんは仕事に戻っていった。  その後ろ姿と行動が10年前の和泉に重なって、少し泣きそうになる。横に頭を思いっきり振って和泉を頭から消し去ってから、一度頬を叩いた。  仕事中は和泉の事は忘れよう、そう自分に言い聞かせて、俺は仕事を始めた。
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