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 その日の夜、いつもみたいにくたくたになりながら家に帰ってくると、何故か和泉がエプロンを着て料理を作っていた。 「ただいまー…って和泉、何してんの?」 「あ、奈緒!!おかえり。これは、見ての通りご飯作ってるんだよ。奈緒が疲れてると思って」  見た目は美味しそうなオムライスを持ちながら、和泉が笑う。  何故か嫌な予感がするオムライスを見ながら、とりあえずお礼を言っておいた。 「あれ、そういえばカレーは?朝もまだいっぱい残ってたよな?」  ふと疑問に思ったことを聞くと、和泉は途端に気まずそうにうつむいた。 「あ、えーと、昼にお腹が空きすぎて全部食べちゃった…」 「え!?あの量を?あと3人前くらいは残ってたような…」 「だからちゃんとオムライス作ったから!!味は美味しいのかわからないけど、とりあえずレシピ見て作ったからたぶん大丈夫!!」  不安しか感じない台詞を言いながら、和泉は机にオムライスを置いた。  一緒に和泉が持ってきたスプーンで一口分を掬う。  色や匂いは普通のオムライスと何も変わらない。なのに、何故か怖いと思ってしまうのは何故なのか。 「ちょ、奈緒大丈夫?なんかすごいオムライス睨み付けてるけど。あ、味は本当に大丈夫だから、多分。い、一回食べてみて!!そしたらまずいかまずくないか分かるから」  そう言われて、俺は覚悟を決めた。
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