… 白露 …

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どこまでなら許されるだろう。 どこまでしたら、拒否されるんだろう。 「笹本くん、お誕生日おめでとう!君の後学のために、私から贈り物をされてくれ」 北村教授は、「ただし、家に帰ってから開けるんだよ」と言いながら、百貨店の紙袋をくれた。 ガムテープで封がしっかりされてある。 持った感じで、冊子かな、とはおもう。 てゆうか、夏季休暇中にわざわざ呼び出して、渡してくれなくてもよかったのに。 自分が学会で忙しいから、嫌がらせをしているんだな。 部屋に戻って、紙袋を開ける。 A4用紙が厚さ3cmほど、紐で綴られている。 文献? …嫌がらせは、呼び出すことに非ず。 入っていたのは、男同士でことをおこなうには、的な歴史的資料のコピーだった。 教授…なにを考えているんだ。 でも、ちょっと、興味あるかも。 ペラペラとめくる。 ああ、どの時代にもあるもんなんだなぁと感心するような複雑な気持ち。 山内さんに嫌われてはない、とおもう。 卒業式の夜に公園で口づけをしてしまったのは、なんてゆうか、不可抗力だ。 それなのに、山内さんは嫌がることもなくて、「大学院に進む」と言うと、うれしそうな顔をしてくれた。 それからは、学部生のときより、仲良くなった。 ときどき、ご飯にも誘ってくれる。 ぼくからは誘っていない。 あの夜みたいなことも、していない。
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