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その日、研究室にいくと美鈴ちゃんがいた。
北村教授と相澤さんと、たこ焼きを食べている。
…なぜ、たこ焼き?!
「幸、お邪魔してまぁす」
「どうしたの?」
「弟が心配で…」
うふふ、と笑う美鈴ちゃんの来訪をぼくは素直に喜べない。
何かなければ大学まで来ないはずだ。
「おきれいなお姉さんでうらやましいなあ!」
北村教授は鼻のしたをのばしている。
「笹本くん、美鈴さんからたこ焼きセットの差し入れもらったの!一緒に食べよう」
相澤さんは、率先してたこ焼きを丸めていた。
差し入れ…美鈴ちゃんの常識はどうなってるんだ。
ぼくがもやもやしているうちに、教授が余計なことを言いだす。
「美鈴さん、そういえば、山内くんには会いましたか?」
「いえ?」
「教授!それはちょっとぉ…」
相澤さんはとめようとしてくれたのだが、そのことで逆に美鈴ちゃんは興味を示してしまう。
ああ、もう、
「美鈴ちゃん、教授も相澤さんも勤務中だから長居はよくないよ」
帰って、と眼で訴える。
それを気付いていながら、美鈴ちゃんはにっこりわらって、
「弟は大学のことを何も話してくれないので、ぜひ、その方に会ってみたいです」
と言った。
ほんと、何しに来たんだよ!
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