秘密事香るティータイム

10/16
前へ
/16ページ
次へ
 第一回目のお茶会は、和やかな雰囲気で始まった。  薫の部屋は、女性らしい色使いのシンプルな感じだった。  冬は炬燵になりそうなテーブルがポンと置いてあり、パステルカラーの家具が機能的に配置されている。  上がり込んで胡座をかくと、落ち着いた気分になれた。  そして、洒落たティーセットが用意され、ダージリンと書かれた小箱から香り高い茶葉がティーポットに移動、お湯が注がれる。  その一連の動作が、優雅で美しく、和也を見惚れさせる。  お茶のお伴は、某県の銘菓、五万石饅頭。  ダージリン、五万石、ダージリン、五万石、ダージリン、五万石。  やっぱりしっくり来ない。  紅茶のお伴と言えば、パウンドケーキだろうか?  もっとも、突発的なティータイムだから、不備があるのは仕方がない。  だが、さにあらず。  五万石と紅茶は良く合うのだ。  五万石の控え目なこし餡が、紅茶の風味と香りを邪魔しない。  五万石と紅茶の関係のように、和也は、薫とすっかり打ち解けた。  薫は、見かけによらずサッパリした性格で、つい、何でも話せてしまう感じ。  和也は、何だか男友達と話している気分だった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加