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今の所、フウは毛糸玉と戯れ、人間には関心が無いらしい。
雨は益々強くなり、会話も途切れた。
和也は、切り出すのは今しか無いと感じていた。
そう、勇気を出して、彼女に気持ちを伝えるのだ。
「いつ切り出すの?」「……」止めておこう。パクリになる。
和也は、躊躇いながら薫に声をかけた。
「薫さん、僕と真剣に付き合って貰えませんか?」
薫は、驚いたように和也を見つめていた。
雨音だけの世界、時が止まったようだった。
薫の表情からは、否とも応とも読み取れない。
固唾を飲んで待ち受ける和也に、薫が出した答えは、保留だった。
「少し考えさせて」
薫が、淋しげに笑う。
その愁いを帯びた感じが、和也の記憶に何時までも残っていた。
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