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フウと呼ばれた猫は、ニャーと哭く。
果たして、犬や猫は自分の名前を認識しているのかは、ペット愛好家の間でも意見が分かれる所。
その問題はさておき、和也と親しくなった猫の身元と名前は知る事ができたようだ。
和也は、せっかくの美少女との接点を生かすべく、気の利いた台詞を考えたい所だが、何も思い付かない。
何だか妙に焦ってしまって、出た台詞は普通の動物ネタになる。
「可愛い猫ちゃんですね」
ありきたりの返事しかできそうもない感想を無視して、階下の女性は和也に話し掛ける。
「お真上さん、うちでお茶でもどう?」
もちろん、和也に異存がある筈も無く、慌てて返事をする。
「ももも、勿論、すぐに伺います」
階下の住人、姫琴 薫は、そんな和也を微笑ましく思っていた。
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