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「はこちゃん?」
「はこ姉の言う通りだよ。
バイトなら私たちとやればいいじゃない」
「ぴ♪
旅は道連れ世は情け。
宮菱重工飛行機工場で勤労奉仕を募集してるぴ。
たぶん…」
「…渋っ」
「ぴーーーっ!
ユキネちゃんまで一緒に言わなくてもいいぴーっ!」
可愛らしい羽をぱたぱたぱたと羽ばたかせつつ、二羽の姉とユキネに抗議するふこ。
パシナ971号機のバック運転に推され、テンイ1形一等展望客車を先頭に超特急あじあ号編成がユキネたちのいるホームに入線して来たのは、それからすぐの事であった。
あの時と同じ濃緑色の客車群を目にするなり、先程までの漫才をすっかり忘れてスワロー国へと思いを馳せるユキネ。
その脳裏には、再びあの人の笑顔が浮かぶのであった。
「行こう!
アニリンさんが待ってる!」
「アニリンさん?」
「構内特急さんのファーストネームよね確か…」
「違うぴひょこ姉ちゃん。
昭和11年当時省線鷹取機関区所属、超特急燕の機関士兄山林三さんのあだ名だぴ」
「…渋っ」
「ぴーーーっ!
ふこ渋柿じゃないぴーーーっ!」
そんなやり取りを交わしつつ、ユキネと三姉妹はロ1形客車へと向かう。
せっかくだからテンイ1形に乗る事も考えていたユキネだが、予備とは言え惑星エバードリム魔法騎士である自分の立場を考慮した結果、ユキネは敢えて二等車の切符を買い求めたのだ。
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