29人が本棚に入れています
本棚に追加
「暴れるくらいの元気があるなら大丈夫かな。でもまぁ、大人しく運ばれろ。落とすぞ?」
うっ。
「だ、だって……はっ、恥ずか」
私は立花君の背中を見ていると。
「蝶野さん?」
私を呼ぶ声が少し遠くから聞こえた。
立花君に担がれたまま、私はその声の方、階段の方に頭を上げて見ると。
あ、ちょ、立花君までそっちみたら私の逆になるから見えなくなっちゃうっ。
「……誰? 蝶野、知り合い?」
「う、うん。図書部の部長の、東宮先輩」
ふぅん、と立花君は言うも、私を下ろす気はさらさらないようで、よっ、と担ぎ直した。
反動がお腹に伝わって、ちょっと痛い。
それから東宮先輩は畑を横目に見ながら私達に近づいてきた。
「こんにちは。図書部三年の東宮です。立花君、かな? 生物部植物科の。蝶野さんから話は聞いてるよ」
最初のコメントを投稿しよう!