第9章

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変に喉が渇くとはないから大丈夫そうだけれど、これ以上迷惑をかけてもいけないな、と立花君に言われた通りにしているところだ。 植物科の部室の大きなテーブルには私、その隣に東宮先輩も座っている。 「いいよ。気分はどう? 落ち着いてきたかな?」  優しい風が私の髪の毛をふわっ、と動かす。 涼しい。 「……大分、いいです」  と、私は起き上がった。 ふーっ、と息を吐いて目を擦る。 「あ、ありがとうございました。もう、大丈夫ですから」 「そ? よかった」  にっこり、と笑う東宮先輩は団扇を自分に向けて扇ぎだした。 ここは旧校舎だし、クーラーは設置されていない。 外よりはましだけれどやっぱり暑くて。 先輩はポロシャツの胸元をつまんで、ぱたぱた、とそこからも風を入れている。
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