第9章

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「ここが蝶野さんのお気に入りの場所、かぁ」 「は、はい。どうですか? 旧校舎、初めてですよね?」  東宮先輩は以前、旧校舎に来たい、と言っていた。 それに部室にも。 「蝶野さんが言ってた通り、階段きつかったね。畑も綺麗にしてるし、部室も。なんかわかるなぁ、秘密基地みたいな感じだね」  東宮先輩は、きょろきょろ、と部室を見回しながらそう言った。 好感触のようで、私はちょっと嬉しい。 「ところで気になったんだけど、この団扇の押し花は蝶野さんの作品かな?」  うっ。 「当たりみたいだね」  私は顏に出してしまったようで。 「そ、う、です。でも、どうしてわかったんですか?」
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