第9章

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 ……ぐるぐる、て……わぁ。  私は、やばい、と思って、すぐにしゃがんだ。 「うー……っ」 「蝶野?」  しゃがんだ時に体勢を崩してしまった私に気づいた立花君が声をかけてきた。 「どうした?」 「……立ち、くらみ、かも?」 「貧血じゃなくて?」 「じゃないと、思う。いきなり立っちゃった、から、かも」  まだ、ぐるぐる、と視界が歪みそうで、私は目を瞑ったまま俯いてそう言った。 気持ち悪いとかそういうのはないし、少しすれば落ち着きそう。 と、私は、ふーっ、と息を吐いて目を開けた。  あれ? 日陰? 「……陰、作ってくれたの?」
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