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祭壇の前に座ると、手を合わせてから線香に火をつける。
祭壇の上には兄と妹の遺影があり、まだ若くして亡くなった二人の写真を見ると、胸が痛んだ。
しばし手を合わせてから、修太は向き直ってありさの母に頭を下げる。
ありさの母も、それに返して頭を下げた後で、ハンカチを取り出すと、目頭を押さえた。
「あの……」
修太が申し訳なさげに切り出す。
「はい。何でしょう?」
「あのですねぇ、実はお願いがありまして」
「お願い……ですか?」
「ええ」
「何でしょうか?」
ありさの母は、姿勢を正して聞き返した。
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