始まった天使の復讐劇

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簡単な身の回りの整理を済ませると、家族に宛てて手紙を書いた。 晃司に投票した者は11人。そのうち男子生徒は全員殺したから、後は女子生徒6人である。 女子生徒は色気で釣ることは出来ないし、自分のことを警戒しているだろうから、自宅に招き入れることは難しい。 そうなると外での復讐ということになり、当然殺せばその死体が発見されて事件が発覚するから、すぐに警察に捕まってしまうだろう。 そうなるとせいぜい後二人殺すのが精一杯で、後は美奈都たちに投票してもらって、残りのヤツらを生贄に選んでもらうように託すしかない。 本当はこの手で、大好きだった晃司を殺した11人全員に復讐をしたいけど、おそらくそれは無理だろうと思った。 怜はすでにこの世に未練はなく、早く晃司のもとに逝きたいと思っているけど、残りの6人の死を見届けるまでは生きていたいと思っている。 家族への手紙を書き終えた怜は、生まれ育った自宅を目に焼き付けておこうと思い、一部屋ずつ見て回った。壁の傷だとか、子供の頃に貼ったシールだとか、普段は気にも留めていないことに気が付いて、涙が込み上げてきた。 最後に一階の和室にある仏壇の前に座り、大好きだったお婆ちゃんの位牌に手を合わせて、そしてこんな事件を起こしてしまったことを詫びる。 怜は出発の時間まで自宅の掃除をしてから、彩奈のうちに向かった。
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