始まった天使の復讐劇

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急行列車がホームに入ってくる。 妃佳里はというと、相変わらずスマートホンを見続けていた。 ――今だ! 怜は列の後ろから飛び出し、思い切り妃佳里の背中を突き飛ばすと、そのまま後ろを振り返らずに、出口を目指して階段を駆け上がる。 背後で電車を待っている乗客たちの悲鳴が聞こえた。 怜はそのまま駅から出ると、駅前で客待ちをしているタクシーに乗り込む。 実はお金をそんなに持ち合わせていないが、まぁ大丈夫だろう。 「どちらまで」 運転手がバックミラー越しに聞いてくる。 「えっと、とりあえず富ノ平の駅の方に向かってください」 「はい」 タクシーが発車すると、怜はスマートホンを取り出して彩奈の自宅を確認し、再度運転手にそれを告げた。
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