第1章

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「アズ。 なぁ、お願いだからこっち見て」 夢なら早く覚めて欲しいーー。 「ごめん。 ごめんって……」 謝るくらいなら、こんなことするなよ。 「なぁ、俺、お前のこと……」 言っちゃダメだ。 言ったら終わる。 俺たちの関係が。 今までの積み重ねが。 大事に守ってきた、四年間が……。 「アズーーー」 そう言って、俺の親友は俺の胸元に顔を埋めた。 黒髪がフワリとなびいて、少しだけ、その肩が震えていた。 正しい選択肢なんてわからない。 でも俺たちは、出しようのない答えにずっと無難な道を選んできた。 そして、それが、ずっと続くものだと信じていたーーー。
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