53人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「アズ。 なぁ、お願いだからこっち見て」
夢なら早く覚めて欲しいーー。
「ごめん。 ごめんって……」
謝るくらいなら、こんなことするなよ。
「なぁ、俺、お前のこと……」
言っちゃダメだ。
言ったら終わる。
俺たちの関係が。
今までの積み重ねが。
大事に守ってきた、四年間が……。
「アズーーー」
そう言って、俺の親友は俺の胸元に顔を埋めた。
黒髪がフワリとなびいて、少しだけ、その肩が震えていた。
正しい選択肢なんてわからない。
でも俺たちは、出しようのない答えにずっと無難な道を選んできた。
そして、それが、ずっと続くものだと信じていたーーー。
最初のコメントを投稿しよう!