雪、ひとひら

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初めはいい上司だなとしか思ってなかった筈だった。 仕事が出来て優しくて、立ち居振舞いもスマートで愛妻家。そんな、イメージだった。 それが変わったのは、二人で同じ仕事に携わった時。 間近で見る彼は殊更素敵な男性に見えた。優しいながらも言うべきは言ってくれる。女だからと甘やかすことも下に見ることもなかった。そんな扱いが心地よかった。時間を共有する度、私は彼に惹かれた。 駄目だと、奥さんがいるのだからと何度も自分に言い聞かせた。 ……でも、その仕事をやり終えた時。 私は差し出されたその手を取ってしまった。 いけないと、わかっていながら。
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