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旧校舎はすごくひんやりしていて、入った瞬間背筋が凍りそうになった。
まるで何人もの人に見られているように感じた。
気味悪いなあ…
ちょっと怖くなったからしーちゃんに寄り添った。
しーちゃんは驚いたように私をじっと見つめて、手を握ってくれた。
良かった、振りはらわれなくて。
ほっ、とため息をつく。
そんな私を見てもしーちゃんの表情は変わらない。変わらないけど…
やっぱりカッコいいなあ、しーちゃんは。
そう思いながらしーちゃんに見とれてたら、花恋につつかれた。
(桜ちゃん、いますごい顔してるよ。ぽかーん、て口開けて。)
(な、何言ってんのよ、花恋!そっちこそおもっきり颯音にしがみついてるじゃないっ)
花恋がくすくす笑った。私はほっぺたをぷくぅっとふくらませた。
「ここでやろっか、一番長い廊下みたいだし。皆も、別にいいでしょ?」
日茉莉がいきなり立ち止まって、唐突に言った。
「ここで…?」
花恋がさっきの表情とは打って変わって、一気に怯えた顔になり、泣きそうな声で言う。
「先が見えないよ?鬼があんな遠くにいくなんて、絶対ヤダ!あたし、鬼やんないからね!」
花恋が叫んだ。
「私だっていやよ。桜、あんたがやったら?」
「ふつう言い出しっぺの日茉莉がやるんじゃないの?一人でやるなんて…」
私も怖くなって尻込みした。
「…いい。俺がやる。」
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