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不審に思った敬助が隣を仰ぎ見ると、彼女は辟易した様子で食堂の中を呆然と眺めた。
「……うん、今夜平助くんが追加で来てくれてホント助かったかも…ね」
「え……あの、つぐみ…さん……?」
謎の言葉に彼は益々首を傾げる。
怖ず怖ずと声を掛ければつぐみは無言で場所を譲ってくれ、中をとにかく覗くよう促した。
恐縮しながらもそこへ移動し、敬助が目にしたのは豪華と言うに相応しいご馳走の数々が……。
しかも当初の予定では三人分の筈だったが、どう贔屓目に見ても目の前の料理は大人の男性5人が十分に食べられる量だった。
確かに度肝を抜かされる。
「………あ、もしやこれからどなたかがいらっしゃるのではないでしょうか」
「いや、それはない。ウチお隣さんとは離れてるから平日の来客は滅多にないんだよねぇ、アハハ」
敬助は僅かな希望を口にするが、無情にもその言葉は容易く否定されてしまった。
もう返す言葉すら見つからない。
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