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恐らく優しい彼の事だから、仲間の“死”を悼む気持ちは此処にいる限り持ち続けるだろう。
けれど少しでも前向きに気持ちが転換できたのならと、つぐみはホッと胸を撫で下ろしたのだった。
「ねぇねぇ二人とも、何してゆの?早くこっち来てみてよっ!しゅごいよぉ♪」
なかなか来ない事を心配したのか、平助が食堂の入口からひょっこりと顔を覗かせる。そしてやや興奮気味にブンブンと手招きして二人を呼び寄せた。
どうやら見たことも食べたこともない料理に驚きと興奮が隠せないようだ。つぐみと敬助は互いに顔を見合わせて微笑むと、急かす平助の元へと駆けていった。
「平助、あまりはしゃいではご近所さまの迷惑になりますよ。せめて声を抑えなさい」
「別にいいじゃない、何もかもが目新しくて楽しいんでしょ♪ どれどれ、祥子さん今夜は何を作ったのか…な……!?」
呆れて叱りつける敬助を宥めながら、しかしつぐみの言葉は尻窄みに小さくなっていく。
何故なら目の前にはおよそ女性二人とお子さま2名が食べるには、幾分多すぎる量のご馳走がダイニングテーブルの上に所狭しと並んでいたからだ。
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