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待合室のソファーに座って、猫を膝に乗せていると…、 眠くなってきたのか、 うーんって脚を伸ばして、くるんと丸くなって動かなくなってしまった。 「ふふ、カワイイー。 ……あのう、 この子の飼い主が見つかるまでの間、見に来てもいいですか? 邪魔にならないようにするんで…」 とっても可愛くて、迷惑じゃないかなとは思いつつ、 恐る恐る、 彼の様子をうかがいながら、 ダメもとで聞いてみた。 「まぁ、いいけど」 「本当ですか?ありがとうございます!」 「ふっ、どういたしまして」 あ、笑った。 柔らかい笑みを浮かべて笑うのを見ていたら、失礼かも知れないけど…、 猫以外にも笑ったりするんだって思ってしまった。 それに、 あっさり了承してもらえて、 これからいつまでかは解らないけど、この子に逢えるんだと思ったら、嬉しくて堪らない。 それに、口調は無愛想で、不機嫌そうに見えるけど…、 少し、不器用なだけで、優しい人なんだと思う。 その証拠に、 イケメンに対して良いイメージがなかった私でも、彼と話すのは嫌じゃなかった。
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